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五輪選手にみる変化適応力

 

T&Iアソシエイツ代表の田中薫です。

 

昔から夏の五輪より冬の五輪が好きなのですが、それは多分、冬のスポーツならではの理不尽さと、そのなかで闘う選手に惹かれるからだと思います。

 

冬季の種目は大別して、雪モノと氷モノがあります。

 

雪モノはアルペンやモーグル、ジャンプ、ノルディック複合などスキーに関連する種目、氷モノはフィギュア、スピードスケート、ショートトラックなどスケートに関連するものが多いですね。

 

特に理不尽さを感じるのが屋外で行われる種目。

 

一定の配慮はなされるのでしょうが、スキーのジャンプやノルディック複合などに代表されるように、これらの種目は風雪といった天候の影響を強く受けます。

 

また、ジャンプやハーフパイプなど一歩間違えれば命に関わる大事故に繋がるような危険性の高い種目も多いです。

 

このような条件を受け入れて闘っている選手に強く惹かれます。

 

ジャンプの試合で負けたとき、「彼の時は風がよかったが、自分の時は風が悪かった」などと言い訳をするようなトップ選手はいません。滑走順や演技の順番を敗北の理由ともしません。

 

天候という人間がコントロールできない自然がもたらす影響、それを前提にした競技ルール。それらすべてを受け入れてその競技の選手になっているのだから当然といえば当然かもしれません。

 

しかし、およそ人間という生き物は、うまくいかないときにその責任を誰かや何かに転嫁しがちではないでしょうか?

 

例えば、数年前まで円高、法人税率の高さ、自由貿易協定の遅れ、電力、労働規制、環境規制は日本企業の六重苦とされました。これら外部環境の問題を自社の業績不振の理由に挙げていた企業は散見され、それを当然のように報道していたメディアも多くありました。

 

五輪選手にとって自然環境や競技ルールは自身を取り巻く外部環境です。彼らが外部環境を言い訳としないのと比べると、これらの対応は対照的に見えます。

 

時々刻々と変化する外部環境にうまく適応し、自身の最高のパフォーマンスとしなければ五輪でメダルは取れません。

 

五輪のトップ選手に限らず、各界でトップを走る人や企業には共通するものがあると思います。

 

1.     実現したいこと、なりたい自分を持っている

2.     自分の現状を冷静に受け容れている

3.     自分を変えることを躊躇わない

4.     自分と競争している

5.     言い訳をしない

 

各界でトップを走る人や企業は実現したいこと、なりたい自分(自社)といったゴールイメージをしっかり持っている。それに対して、今の自分(自社)の現状を冷静に認識している。

 

なりたい自分(自社)と今の自分(自社)とのギャップを埋めるために、自分を変えることを躊躇しない。

 

自分を変え、実現に向けた苦闘の過程で、究極的にはライバルとではなく、自分との闘いであることを無意識・有意識に理解する。そこでは他者に責任転嫁などしている暇はなく、事の実現に言い訳は何の意味ももたないことを知る。

 

逆転金メダルとなったS・ホワイト選手を素直に称える平野歩夢選手、両国の国旗を掲げて李相花選手と肩を並べて併走していた小平奈緒選手。とても潔く、爽やかでした。

 

トップアスリートの苦労や心境はトップアスリート同士でしかわからない面もあるでしょう。それでも、私たち観客には目に見えないものも含めて伝わってくるもの「大」でした。

 

「与えられるものは有限、求めるものは無限」と小平選手。

この言葉は人や企業が変化に適応するうえでの示唆に富んでいると思います。

 

外部から与えられるものには限界があり、場合によっては制約にもなります。

自分という内部から探究し、追求することが無限の可能性を引き出すことにも繋がります。

  

ここに何事にも挑戦する意義があると思うのです。自らも挑戦し、挑戦する人や組織を応援しつづけたいと私が思う理由もここにあります。