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失敗を恐れない人材の育て方

 

T&Iアソシエイツ代表の田中薫です。

 

昨今は失敗を恐れない、挑戦好きな若者は多いとは言えません。

 

おまけに起業環境が整ってきたため、リスクテイクができるアクティブな若者は組織に属さず起業するか、スタートアップ企業に就職します。結果として、安定した組織には失敗が苦手な安定志向の若者が入社してくることになります。

 

ただ、こうした安定志向の若者も周囲の働きかけ次第で、失敗を恐れず、挑戦できる人材になれます。

 

彼らの潜在力を引き出す初めの一歩として、新入社員研修と配属後の職場におけるちょっとした工夫と配慮についてお伝えします。

ポイントは「勇気づけと安心感の提供」です。

 

まず、何事も始めが肝心。

新入社員研修で失敗における意識転換を図ることが大切です。

 

新入社員研修では社会人としての自覚、ビジネスマナー、ビジネス上の基礎スキルなどを習得させるのが一般的です。座学に加え、演習を加えることも多いです。

 

この演習の進め方に工夫が必要です。演習では小さな挑戦を沢山させ、失敗させる。

そして失敗を受け容れ、失敗から学ばせることです。

 

失敗は良くない、失敗すると叱られる、格好悪い、といった、新入社員がもつ失敗に対する負のイメージを払拭させる必要があります。

 

周囲の目を気にし、失敗を恐れる彼らは、積極的な発言・質問は避ける、知らないこと・わからないこと・助けて欲しいことがあっても、人に聞かない・頼まない傾向があります。一見積極的に見える人でも、内面では多くの葛藤を抱えていたりします。

 

結果、学びが遅れ、余計に失敗を恐れ、益々、積極的に動けなくなります。

そうならないために、早い段階で勇気を出して失敗から学ぶ体験を積み重ねておく必要があるのです。

 

対人関係に不安をもつ新入社員にとっては挨拶、電話応対ですら大きなストレスです。

多様な人・場面・対応を求められることに慣れていません。マニュアル思考で唯一の正解を求める傾向は簡単には消えません。

 

失敗したことをとにかく否定しない。挑戦したことをまず褒める。

 

そのうえでゴールイメージを示す。ゴールに対して彼らが今、何がどこまでできているのか。できているところを褒め、どこができていないか、どうしたら良かったかを本人に考えさせる。助言は必要に応じて行うので十分です。

 

ゴールイメージや助言により一般的な解・対応を示す一方で、多様な解・対応があることも示す。正解がひとつではないビジネスの世界で、そもそも「失敗とは何か」、改めて考えてもらうのです。

 

このような体験を通じて彼らは失敗に対する認識を改め、受動的であった人でも自分なりに考え、勇気を出して自ら行動するようになっていきます。若者の適応力は素晴らしいので、日を追うごとに成長できる人も多いです。

 

致命傷となる失敗は避けつつ、失敗から素早く学ぶことの意味、良い失敗と悪い失敗についても伝える必要があります。座学と演習を通じて、自分と他者との関係を通して、頭と体と心で学ばせていくことが大切です。

 

ただ、配属された職場次第で、折角、新人研修で身に着けた小さな自信と挑戦への勇気も簡単に喪失し、元の木阿弥になります。

彼らが必要としているのは、失敗したときの自分が否定・拒絶されない安心感です。

 

彼らが失敗から学び、成功体験を積み重ね、それを自信として、より大きな挑戦へ向かうエネルギーとするには、周囲の人々から継続的に勇気づけを得る必要があります。

 

若い彼らの挑戦は職場を、企業を、社会を活気づけてくれます。

彼らが挑戦し易い職場は新入社員以外の社員にとっても挑戦し易い、イノベーションが起きやすい職場です。

 

人手不足の昨今、折角採用した有能な人材を意欲喪失やメンタルヘルス不芳により、休職や離職で失うことのないよう、若者の小さな挑戦の積み重ねを応援して欲しいと思います。

  

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