T&Iアソシエイツ代表の田中薫です。
競争から共創へとよく言われますが、「従来の競争思考から抜けられない」と仰る方もあれば、共創に正のイメージを持ち、競争に負のイメージを持っていらっしゃる方もあります。
競争に負のイメージを持っていらっしゃる場合、それはこれまでのその人の競い争った経験に加え、「争」という文字にも理由があると思います。
「争」という字の語感を取り除き、競争を競い合う(競合)というニュアンスで捉えたとき、幾分印象は和らぐかもしれません。
そのとき、競争は争って人を蹴落とすようなイメージから、「互いに刺激し合って成長していく」というイメージへの変化ももたらすのではないでしょうか。
そう考えれば、共創も競争も必要だということが改めて実感できると思います。
共創には共働と共育が必要になります。
共働は共に動く、働くこと、共に汗をかき、知恵を出し合い、工夫し合うことです。
今までと異なる人や企業が出会い、共働するとき、ある時はAからBへの教育(一方向的に「教える」ということ)が必要で、またある時はその反対にBからAへの教育が必要になります。
今までとは全く前提の異なる相手と共働するには、互いを知り合うプロセスが必要で、そこではそれぞれの知見・経験の伝授が必要になるからです。
このとき、やり方次第でうまくいかないことがあります。
共働するAもBも、互いにこれまで培ってきた知識や経験があります。当然、そこにはこれまでの自分(自社)に対する自負があります。
教育における接し方次第で、相手の意欲を削ぎ、能力も引き出せなくなってしまう、場合によっては対立に発展してしまうことにもなりかねません。
うまく教育をし合えた場合は、相互理解が深まり、相互の貢献意欲にも繋がり、共育(共に育つ)から共創(共に創る)へと発展していくことが可能になるでしょう。
また、通常、共創という言葉は社外との連携を指しますが、「共に協力して創造する」という意味では社外との連携だけに留まるものではありません。
共創が盛んに言われているとき、無意識に「社内の共創はできている・既にやってきた」という前提があるように思います。
企業によってはいつの間にか組織が蛸壺化して、社内の共創すら難しくなってしまっているケースもあります。
社外との共創は社内の共創ができている企業の方が進み易いので、もう一度社内の共創環境に目を向けてみるのも良いと思います。