T&Iアソシエイツ代表の田中薫です。
自分の寿命は延びていくのに、仕事の寿命は短くなる。
仕事・職業をどう選ぶべきか?このままで良いのか?
そんな人々の将来への不安に対して、AI時代を生き抜くための仕事や職業に関する書籍の出版などが相次いでいます。
個人的にはAI云々の前に、そもそもの職業選択の在り方に疑問を感じています。
日本の産業の歴史を振り返れば、繊維、鉄鋼、自動車、電気、銀行・・・とその時々、花形とされる産業があり、そこに属する企業がありました。
鉄鋼全盛期には、親は子供に鉄鋼会社への就職を奨めたことでしょうが、今、鉄鋼会社への就職を奨める親も希望する学生も少ないでしょう。
少し前まではメガバンクへの就職を奨めた親御さん、就職を望んだ学生さんも多かったことと思います。
Fintechの影響でリストラに動き始めた今のメガバンクの状況を、複雑な想いで見ている親御さん、そのお子さんもあるのではないでしょうか?
これらから、職業選択における2つの危険性がわかります。
ひとつは今を起点に判断すること、もうひとつは判断を他者に委ねることです。
今は変化のスピードが従来の比ではなく、変化の質も大きく変わっていますから、今を起点に判断することは論外だと思います。
それだけ変化が大きいので、未来を予想することにも限界があります。
親や先生など人生の先輩や各分野の専門家の意見を参考にさせて頂くのは有意義だと思いますが、「これを選んでおけば正解」「勝ち組になれる」とされたものが本当に将来適切かどうかというと、それほど単純ではないと思います。
そもそも、正解、勝ち組は誰が決めるのでしょうか?
職業や仕事は詰まる所、自分の幸せを得るための手段だと思います。
仕事を通じて成長や達成感を得る、仕事で得た対価で生活を楽しむ。いずれも自分の幸せに繋がるものでしょう。
幸せの定義は人それぞれ。
自分の幸せは自分にしかわかりません。人から教わる、人に決めてもらうものでもありません。
正解や成功、勝ちか負けか、なんてことは自分が決めることであって、他者から決めつけられるものではないと思います。
一人一人に個性があり、個人の能力や健康状態、家庭の事情など状況はみなそれぞれです。それらを考慮して、自分で選択する必要があると思います。
自分はどういう時が幸せで、将来どういう状態を望んでいるのか。
自分の幸せを追求するなかで今の状況を整理し、望む将来を考える。その過程で選択していくもの(職業を含む)が見えてくるのではないでしょうか?
そうしたことが腹落ちしている、納得感を持って前進していく人は、周囲の環境が変化しても、あまり翻弄されずに自分の進む道を見出していくことができると思います。
紙幅の都合で、納得感を得るための手法などをご紹介することはできませんが、若い人には周囲に惑わされずに自分の信ずる道を進んで欲しいといつも願っています。
そして今の変化への対応が一番難しいミッドライフ・クライシス世代の方には、ご自身との対話を大切にして頂きたいと思っています。
優れた企業には自分軸があると思います。個人も同じではないでしょうか?