T&Iアソシエイツ代表の田中薫です。
2017年末に「外部資源を効果的に活用するためのヒント」というコラムを書きました。
同じような問題が繰り返されているので、第2弾として取り上げることにしました。
前回はシステム開発を事例に、開発を依頼する発注者側と開発を請け負う受注者側のミスマッチ、その背景、対応上の留意点を書きました。
そのとき、外部資源を効果的に活用するには次の3つが必要と書きました。
1. 目的や要件の明確化(自分の状態がわかっている)
2. 情報の非対称性への配慮(相手の状態がわかっている)
3. 全体と各機能の関係性への理解(目的と手段の関係性がわかっている)
前回のコラムでも触れていますが、実は上記「1」がネックになっていることはとても多いです。
つまり、発注者側は「自分の状態がわかっていない」ことが多いということです。
自分のことは案外自分ではわからないもの。
多忙な毎日に加え、昨今のビジネス環境の複雑さ、劇的な変化を踏まえればやむを得ないと思います。
沢山ある問題に翻弄されてしまったり、流行りの言葉に流されてしまったりして、自分が本当に必要としているものは何なのかがわからなくなってしまうケースは意外に多いです(会社の規模の大小を問わず)。
従来と異なる発想、思考で事業を創造しなければならない今、直接的な解決手段(How)を外部に求める以前に、内部の深い整理(Why)が益々重要になってきています。
その内部の整理をするうえで外部資源を活用することを改めてご提案します。
答えを安易に外部に求めないでください。答えは発注者の皆様がお持ちです。
内なる答えを引き出してくれる対話相手を外部に求めてみてください。
自社、自分が本当に欲しているものを引き出し、整理したうえで、さらに必要な情報を自分に提供してくれるコンサルタントを見つけることが大事だと思います。
Whyの整理をするコンサルタント、Howを提供するコンサルタントなど、外部資源の活用では状況に応じてうまく使い分けることも必要になります。
それらを紹介するマッチング会社などもいろいろありますが、その質を見極める目も求められます。
ちなみに、T&IアソシエイツはWhyの整理、お客様が持っている内なる答えを引き出すお手伝いをしています。
最後に、ちょっと面白いコンサルタントの使い方をご紹介します。
(お客様については契約の都合でご紹介できませんので知人の話です)
中小企業を経営する知人は時々、突然私に電話をかけてきます。
話の内容は様々です。そしていつも話は混沌としています。
いつも何かに追われ、急いでいる人なので、最初は何の話かさっぱりわからないことも多いです。
何かの問題が生じ、なんとかしなきゃと頭の中が混乱している状態で、「!」と閃いて直感的に私に電話を掛けてこられるようです。
話を聴きながら、私は想像力を駆使して状況や背景を確認するための質問をしていきます。
しばらくすると、知人は「!」とまた閃くのか、腹落ちするのか、「そう、そう」とか、「そう、これがしたいんだ」とか「いや、これはこう」と段々、様子が落ち着いてきます。
そのうえで「こんな人を紹介してくれないか?」とか「こういうのはどう思う?」とか、意見を私に求めてきます。
つまり知人は私を対話相手にして自分の状況を確認、整理しているのです。
私と話すうちに自分に必要なこと、自分が本当に思っていること、自分が持っている答えに気づいていくのです。
短い時間でHowの前のWhyを整理し、Howについての助言や仲介まで求めている「ちゃっかり者」なのです(笑)
皆さんは「私は(うちは)しっかりできているから、そんな対話相手は必要ない」と仰るかもしれません。
しかし、皆さんの貴重な時間の価値を考えるとき、知人の例は皆さんにも参考になるのではないでしょうか?
知人は中小企業の社長です。やりたいことは沢山あり、自身の報酬は高いはずです。
あれこれ悩んでいる価値を生まない時間は減らすに越したことはありません。
行動のための意思決定を速やかに行う、そのために必要な外部の情報を効率的に収集する、こうしたことは事業面で大いにプラスになります。
時間対効果、費用対効果を考えれば、知人の外部資源の活用の仕方は賢いのです。
そうした効果を考えれば、知人の「カオスから道筋を見出す」お手伝い、そろそろ有料化しても良いのではないか?と冗談半分、本気半分に思っているこの頃です(笑)
手前味噌のようになりましたが(笑)、こうした信頼できるパートナーを身近に置いておくことはビジネスにおいてとても有意義だと思います。
ご興味があればこちらもご覧ください。
・答えは内にある-舶来品珍重主義との別れ(前編・後編)
・コンサルタントに頼むその前に:その1、その2、その3