コロナ騒動に見るリーダーのコミュニケーション術~その②

 

TIアソシエイツ代表の田中 薫です。

 

前回はコミュニケーションの要素を踏まえつつ、ニューヨーク州のクオモ知事やデンマークのフレデリクセン首相を例に、伝え方や伝える姿勢、非言語的コミュニケーションの重要性について書きました。

 

今回は伝える内容、言語的コミュニケーションについて取り上げます。

 

前回触れた通り、コミュニケーションは送り手が何らかの効果(行動変容)を期待してメッセージを受け手に送るものです。

 

メッセージの受け手がメッセージに即した行動を取ることができて、初めてそのメッセージは伝わったことになります。伝えると伝わるの違いがここにあります。「伝える」は受け手に情報を送るだけ、「伝わる」は受け手が行動変容することまで含みます。

 

日本では政治家や専門家の方々が伝わる伝え方、コミュニケーションに難儀している様子が窺えます。では、伝わるように伝えるにはどうしたらよいでしょうか?

 

まずは伝える内容の構成です。

以下は前回ご提示した3点からの一部抜粋です。

 

・伝える内容(事実・見解、依頼・要望、見通し・展望)

 

支持されるリーダーが伝える内容は「伝わる」ように意識して構成されています。

事実と見解をしっかり分離し、冷静に事実を提示しながら、専門家の意見も踏まえて自身の見解をリーダーは率直に述べています。そのうえで人々に協力を呼びかけ、依頼・要望を伝えています。安易な憶測や目論見を交えることなく、未知の領域にありながらも可能な限りの見通しや展望を示そうとしています。

 

リーダーからメッセージを受け取る受け手は多様です。受け手の属性、状況、状態を想像しながら伝え方を工夫することが求められます。

 

事実と見解・憶測もどきがごちゃまぜの状態で、依頼や要望をされても人々はどうしたら良いか迷います。

 

最初に感染拡大の防止が求められたとき、受け手の自分ごと化を進めるコミュニケーションが必要だったと思います。伝えられていることが自分に関係があり、自分はどうする必要があるのか、それはなぜなのかということが腹落ちして受け手が行動しやすくなる、受け手の自分ごと化を意識して伝える必要がありました。

 

自分ごと化を促すポイントとしては以下3つが挙げられます。

    翻訳(一般用語への置換)

    具体化(数字や事例の提示)

    イメージ化(グラフや図、イラスト等の活用)

 

新型コロナウィルスという未知のものを前に医療や統計の専門用語などを使われてもピンとこないという方は多かったでしょう。それぞれの専門家が話す言葉をリーダーは翻訳する必要がありました。できるだけ専門用語やカタカナ用語を避け、一般的、日常的に使われている言葉に置き換える必要があります。

 

具体化やイメージ化は「3密(密閉、密集、密接の回避)」やいわゆるソーシャル・ディスタンス(1~2mの物理的距離を取る)のポスターなどが代表的です。このように、数字やイラストが提示されたことで人々はようやく行動しやすくなったと言えます。

 

東京五輪の影響もあったでしょうが、日本では見通し・展望に対してうまく伝えられることがありませんでした。一部の専門家が伝えてくれることや過去の歴史、海外の情報などをそれぞれの人が収集して、自分なりの見通し・展望をもって対応することになりました。

 

コロナ下における経済活動の再開が求められ、再び感染が拡大している今、人々は再び難しい対応と選択を迫られています。

 

リーダーが今伝えている内容は伝える内容の構成(事実・見解、依頼・要望、見通し・展望)に基づいているでしょうか?伝わるように意識したものになっているでしょうか?

 

緊急措置として行われた給付金、補助金、融資や借換が無限に続けられる訳はありません。

国や組織のリーダーのコミュニケーションの質がますます問われることになると思います。

 

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当たり前のようでいて実は奥が深いコミュニケーション。

今の時代、ますますコミュニケーション力が問われています。

送り手の個性を活かしつつ、受け手に“伝わる”コミュニケーションにするための「コミュニケーション術」、オンライン・コーチングでご支援いたします。

まずはご自身のコミュニケーションを改めてチェックしてみませんか?

 

宜しければ、以下のコラムもご参照ください。

“伝える”を“伝わる”に変える翻訳

コロナ騒動に見るリーダーのコミュニケーション術~その①