T&Iアソシエイツの田中です。
著名なコンサルファームの方がこれまでフレームワークに関する本をたくさん世に出した一方で、「SWOTなんて意味がない」「5Forces?ポーターなんて時代遅れ」、そういうことを仰る著名な学識者の方もいらっしゃいます。
皆さんはどう思われますか?
個人的にはまず、安易に否定する前に、それぞれのフレームワークが生まれた背景、それぞれの特性、長所短所を踏まえた意見であるかが最初に気になります。そして、それらを「生み出した人(学者や企業関係者等)」に対して、「生み出したことがない人(前者同様)」が行う安易な否定には私は懐疑的です。
建設的でない「批判」というより単純な「否定」をするならば、より高度な対案を出す(意外にその対案は否定されたものより浅いものであることも少なくない)必要があると思います。少なくとも、深い思考を経て何かを生み出した人に敬意は持ちたいものです。
昔、ベンチャーキャピタルで投資案件の審査をしていた頃、投資担当者が得意気に流行りのフレームワークを使って資料を出してきたときに、その資料を読みながら私の脳裏にいつも過ぎっていた言葉は「ツール使いのツール酔い」でした。
フレームワークというツールの本質、フレームワークを生み出した人の思考プロセスを想像もせずに表層だけをなぞるとツールの意義は失われます。
例えば、SWOTでは「強み」は「弱み」の裏返しであったり、捉え方次第で「脅威」は「機会」にもなったり、その逆もあったりします。5Forcesや他のフレームワークも捉え方、使い方次第です。
時代やシーンに応じて適切に「応用」するには「本質」を捉える必要があります。
フレームワークの使い手には、自らの思考や考察を踏まえ、フレームワークに新たな生命を吹き込むこともあって良いはずです。
例えば、PEST。コンサルタントの間でも使う人がほとんどいないフレームワークで、「PESTなんて意味がない」という著名な元・コンサルタントの方もいらっしゃいます。
私はそうは思いません。
かといって既存のPESTが十分だとも思っていません。既存のPESTに足りないものを自分で追加、アレンジして研修やコンサルでお客様に具体的な利用シーンと使い方をご紹介しています。
ただ単にフレームワークの枠を埋めただけでは「だから、何?」になります。
フレームワークを使うことが「目的化」することもまた意味がありません。
ChatGPTなどITも同じです。
フレームワークもITもどちらも道具、手段に過ぎません。
どんな手段でも利用にはメリット、デメリットがあります。
それぞれの手段の特性、本質を理解して活用することが大切と考えます。
フレームワークを使えない代物、時代遅れと簡単に切って捨てる前に、使い方、使う上での「前提」や「思考」が時代遅れになっていないか?使い手のフレームワークの「捉え方」が時代遅れになっていないか?を再考することがより重要と考えます。これまたITも同じです。
フレームワークの「内」に留まるのではなく、思考を「外」に、広く柔軟におく。
IT、特にAIが加速度的に進化する時代、人間の思考、発想は今まで以上に柔軟である必要があるのではないでしょうか?
T&Iアソシエイツでは、カジュアル&フレンドリーなコンサルタントが柔軟性と機動性をもってご支援しています。意義のあるフレームワークの活用、戦略立案、IT活用、人材育成などお気軽にご相談ください。